常住じょうじゅう)” の例文
我々はみずから相応に鑑賞力のある文士と自任して、常住じょうじゅう他の作物に対して、自己の正当と信ずる評価を公けにして憚らないのみか
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのころ、当の金博士はどうしていたかというのに、彼は常住じょうじゅうの地下室から、更に百メートルも下った別室に避難し、蟄居ちっきょしてしまった。
桜島に来て以来、このことは常住じょうじゅう私の心を遠くから鈍くおびやかし続けている。——
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
おのおの十五カ所のしろ(季節によって鶴が集まる場所)があって、鳥見役という専任の役人が代地を管理し、六人の網差あみさし下飼人したがいにん常住じょうじゅうにそこにつめていて、毎日三度ずつ精米五合をまき
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あの女を役者にしたら、立派な女形おんながたが出来る。普通の役者は、舞台へ出ると、よそ行きの芸をする。あの女は家のなかで、常住じょうじゅう芝居をしている。しかも芝居をしているとは気がつかん。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)