“市楽”の読み方と例文
読み方割合
いちらく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
目立たない洋髪に結び、市楽いちらくの着物を堅気風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
市楽いちらくの羽織に、くすんだしまものを着て、帯の紋博多もんはかただけがいちじるしく眼立つ。額の狭い頬骨の高い、鈍栗眼どんぐりまなこである。高柳君は先生に挨拶あいさつを済ました、あとで鈍栗に黙礼をした。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
男も同じく絹はんけちに黒眼鏡、天鵞絨ビロード鳥打帽とりうちぼう、大嶋か何かの筒袖つつそでの羽織、着物は市楽いちらく風通織ふうつうおりにて、帯は幅広し。小指に金の見留印みとめいんの指環、黒八丈の前掛をしめ、雪駄せったちやらちやらと鳴して歩く。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)