屠者としゃ)” の例文
その時々に行わるる標準をもって勝敗を定むることはほんの一時的で、市中の屠者としゃ韓信かんしんに勝ったといって得々とくとくたると同じである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
元は、何とか云うまち屠者としゃだったが、偶々たまたま呂祖ろそに遇って、道を学んだと云うのである。それがすむと、道士は、しずかに立って、廟の中へはいった。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一番最下の族は先にもいいましたように渡船者とせんしゃ、漁師、鍛冶屋かじや屠者としゃの四つで、これらの中でも渡船者と漁師とは少しく地位が高い。決して鍛冶屋や屠者のようではない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
けれども屠者としゃ鍛冶屋かじや、猟師、番太ばんたの子供はその位に就くことはもちろん出来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
なぜならばラサ府でヤクを殺し羊を殺す者は仏教徒ではない。シナ人の回回フイフイ教徒です。それが皆屠者としゃである。だから彼の回回フイフイ教徒らはヤクに引導を渡さないですぐに首を切り落してしまう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)