小名こな)” の例文
下瀧より少し上に河一體が大瀧になつてゐるのが眞白に見えて、そこより上は上瀧と小名こなに呼ぶところだ。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まだそのほかに宿内の控えとなっている小名こなの家数を加えると六十軒ばかりの民家を数える。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのうちにいろいろの小名こながありますが、これから申し上げるのは小日向の水道ばた、明治以後は水道端町一丁目二丁目に分かれましたが、江戸時代にはあわせて水道端と呼んでいました。
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
荒町は馬籠の宿内の小名こなで、路傍みちばたにあらわれた岩石の多い橋詰はしづめの辺を間に置いて、馬籠の本宿にかかる。なだらかな谷間を走って来る水は街道を横切って、さらに深い谿たにへと落ちて行っている。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)