寇掠こうりゃく)” の例文
家は絨帳じゅうちょう穹盧きゅうろ、食物は羶肉せんにく、飲物は酪漿らくしょうと獣乳と乳醋酒にゅうさくしゅ。着物はおおかみや羊やくまの皮をつづり合わせた旃裘せんきゅう。牧畜と狩猟と寇掠こうりゃくと、このほかに彼らの生活はない。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「名古屋においては太郎丸殿、寇掠こうりゃくを逞しゅうなされたな」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それからだいぶ久しくたったころ、代・上郡を寇掠こうりゃくする軍隊の一将として南行することを求められた。このときは、漢に対する戦いには出られない旨を言ってキッパリ断わった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ちょうど酒泉しゅせん張掖ちょうえきの辺を寇掠こうりゃくすべく南に出て行く一軍があり、陵は自ら請うてその軍に従った。しかし、西南へと取った進路がたまたま浚稽山しゅんけいざんふもとよぎったとき、さすがに陵の心は曇った。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)