宮本武蔵みやもとむさし)” の例文
友人たちとこの映画のうわさをしていたとき、居合わせたK君は、坊間所伝の宮本武蔵みやもとむさし佐々木巌流ささきがんりゅうの試合を引き合いに出した。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
道場破りの宮本武蔵みやもとむさし来らず、内弟子ばかりに取巻かれて先生々々といはれてゐれば剣術使も楽なもの。但しかういふ先生芝居ではいつも敵役かたきやく華魁おいらんにはもてませぬテ。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
細い流のある辺に高い台を拵えて、男が頻りに語っているのは、宮本武蔵みやもとむさしの試合か何かのようでした。傍の女の三味線は、そのつなぎに弾くだけで、折々疳走かんばしった懸声かけごえをします。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
すると彼は、小僧でかした、その意気じゃ、と言って入門をゆるすという事になる。そんな映画を見た事があった。あれは、宮本武蔵みやもとむさしの映画だったかな? ああ、空想ははてしない。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「御覧なさい、小さな宮本武蔵みやもとむさし荒木又右衛門あらきまたえもんがいますよ。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)