定番じょうばん)” の例文
蜂谷は四百石の物頭ものがしらで、去年から江戸定番じょうばんになって来ていた。伊東七十郎は伊達の家臣ではなかった。
「もし、定番じょうばんさん。わたしが引っ返して来るまで、この小僧を奥へほうり込んで置いてください。縛って置くにゃあ及ばねえが、逃がさねえように気をつけて……」
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大岡家は、十一家もあり、ここの忠右衛門忠真ただざねは、本家格ではないが、お徒士頭かちがしら、お先鉄砲組頭、駿府定番じょうばんなどを歴任し、いまは、閑役にあるといえ、やしきは大きなものだった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今お話し申すのは小さい自身番で、親方が佐兵衛、ほかに手下の定番じょうばんが二人詰めているだけでした
半七捕物帳:06 半鐘の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
岡安喜兵衛が振り向くと、定番じょうばんの下役人がはいって来て、栄二の手鎖のかぎを外した。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
定番じょうばんを相手に、囲炉裏いろりのそばでしばらく話していると、やがて善八は大工の勝次郎をつれて来た。
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それを横目に見ながら、半七は隣りの自身番へはいると、定番じょうばんの五平があわてて挨拶した。