嬥歌会カヾヒ)” の例文
此は一郷イツキヤウ精進と称すべきもので、附属条件として、大原の雑魚寝ザコネ・筑波の嬥歌会カヾヒなどの雑婚の風習が伴つて来る。
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
興台産霊コトヾムスビの字面がよくことゞの義を示してゐる。ことゞふは、かけあひの詞を挑みかける義で、嬥歌会カヾヒニハなどに言ふのは、覆奏を促す呪言の形式を見せて居る。
併し、やはり、短歌の揺籃なる嬥歌会カヾヒ——歌垣の類——や、神の妻訪ツマドひの式などが短歌興立期の最中に、まだ信仰深く行はれて居た為と言ふことも、理由になるであらう。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
歌垣・嬥歌会カヾヒ・新室の寿ホカヒの唱和は、民間の歌謡の発達の常なる動力であつた。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
奈良朝の都人の間に、踏歌化して行はれた歌垣は、実は別物であるが、其遺風の後世まで伝つたと見える歌垣・嬥歌会カヾヒ(東国)の外に、住吉スミノエの「小集会ヲヅメ」と言うたのも此だとするのが定論である。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)