媒妁人なかうど)” の例文
鈴木が言ふには、洋食といふものはあれで本式にするとむつヶしい作法がある。媒妁人なかうど媒妁人なかうどだから、下手なことをすると笑はれる。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
媒妁人なかうどに料理番を兼ねた平七は、朝の中から家内と一所にやつて來て、亥の子なぞには頓着なしに、盃事や御馳走の用意に忙しがつてゐた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
媒妁人なかうどづいふめでたしと、舅姑きうこまたいふめでたしと、親類等皆いふめでたしと、知己ちき朋友ほういう皆いふめでたしと、渠等かれら欣々然きん/\ぜんとして新夫婦の婚姻を祝す、婚礼果してめでたきか。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
媒妁人なかうどにも檀家からの手傳人にも皆な引き取つて貰つたが、花嫁と其の父母とは暫らく願念寺に泊り込んで、天南が姿を現はすのを待つてゐた。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「それぢや俺はこれから媒妁人なかうどのところへ寄つて、式場の方の都合も問合せる——今度はその為に出て来たんだから寄れたら根岸へも寄る。復た来ます。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何となれば社会は人に因りて造らるゝものにして、人は結婚によりて造らるるものなればなり。こゝに於てか媒妁人なかうどはいふめでたしと、舅姑はいふめでたしと、親類朋友皆またいふめでたしと。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)