媒介者なかうど)” の例文
吉野と肩を並べて歩みを運ぶ靜子の心は、言ふ許りなく動悸ときめいてゐた。家には媒介者なかうどが來てゐる。松原との縁談は靜子の絶對に好まぬ所だ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
先刻さつき町から帰つてから、待てども/\兄が帰らぬ。母も叔母も何とも言つてくれぬだけ媒介者なかうどとの話の発落なりゆきが気にかかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ドタバタと騷ぐ其音を聞いて、別室の媒介者なかうども離室の吉野も驅けつけた。帶せぬ寢卷の前を押へて母のお柳も來る。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ドタバタと騒ぐ其音を聞いて、別室の媒介者なかうど離室はなれの吉野も馳けつけた。帯せぬ寝巻の前を押へて母のお柳も来る。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
媒介者なかうどを同伴して來るまでに運んだのであるが、來て見るとお柳の態度は思ひの外、對手の松原中尉の不品行(志郎から聞いた)を楯に、到頭破談にして了つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
晩餐の時、媒介者なかうどが今夜泊るのだと叔母から話された。信吾は全然すつかり暗くなつても帰らぬ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)