姜維きょうい)” の例文
剣閣のけんに拠って、鍾会しょうかい対峙たいじしていた姜維きょういも、成都の開城を伝え聞き、また勅命に接して、魏軍に屈伏するのやむなきにいたった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも種類は二三種しかないから、姜維きょういが馬を走らせるのも、武松ぶしょうが人殺しを演ずるのも、背景には一向変化がない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
このとき姜維きょういの一手は、また南の柵外に現れて、羗族の大軍がそれから出て、孔明を追撃するのを、妨害するかのような態勢をとった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五万の兵はまるで山海嘯やまつなみの如く谷を縫って流れた。すでにして姜維きょういが火をかけた山々の火気が身近く感じられてきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——思うに、一人の姜維きょういにすら勝つことができない人間に、何で魏を破ることができようぞ」——と。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ——これは結果論となるが——姜維きょういのただ一つの欠点であったことは、孔明ほどな大才や機略にはとうてい及ばない自己であるを知りながらも、その誓うところ余りに大きく
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、費褘ひい姜維きょういの両人が健在なことだ。以後、彼らが鋭意国政に当って、この衰亡期にある国家を支え、故孔明の遺志にこたえんとする努力には、涙ぐましいほどなものがある。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)