妖女ウェーヂマ)” の例文
ところで、その間にも妖女ウェーヂマはぐんぐん高く昇つて、今はただ一つの黒い小さな点となつて上空にチラホラ隠見してゐるだけである。
まるで切札なんか一枚もなく、やつと並札なみの十が上々で、揃札くつつきひとつないのに、妖女ウェーヂマの方では後からあとから二二一ピャチェリクばかり揃へやがる。
あの森の中にはジプシイが住んでをつて、妖女ウェーヂマが火掻棒に跨がつて空を翔けまはるやうな晩に限つて、巣窟あなから出てきて、鉄をつのぢや。
妖女ウェーヂマがまさしく何処か用事のある処へ乗つて行つたらしい箒がひとり翔んで後へ引つ返しつつあるのまで、はつきりと認めることが出来た。
狂人のやうになつたペトゥローは、短刀を振りかぶつて妖女ウェーヂマにをどりかかりざま、まさにその手を打ちおろさうとした……。
あの妖女ウェーヂマの仕業なのさ! ちえつ、ほんとに、このおいらが皇帝ツァーリか、それとも偉え大名ででもあつたら、先づ何を措いても
肌着ひとつの妖女ウェーヂマが牛の乳を搾りだしたのが見えるのだけれど、彼は身動き一つすることも出来ない——呪術まじなひにかけられてしまつてゐたのだ。
そして、そこにゐるほどの妖女ウェーヂマといふ妖女ウェーヂマが残らず、酔つぱらつたやうな恰好で、珍妙な悪魔の踊りををどつてゐるのだ。
妖女ウェーヂマは彼の手からくだんの花をひつたくると、身をかがめて長いあひだそれに怪しげな水をふりかけながら、何か口のなかで呪文を呟やいてゐた。
「で、その妖女ウェーヂマは?」と、涙のいつぱいにたまつた眼をじつと男にそそぎながら、おづおづとハンナが遮ぎつた。
醜悪きはまる化生のものが彼の眼前を群れをなして駈けまはつた。妖女ウェーヂマは首を刎ねられた屍を両手にかかへこんで、狼のやうにその血をすするのだつた……。
可哀さうな令嬢パンノチカは自分の継母が妖女ウェーヂマであつたことと、自分がその片手を斬りおとしたことをさとつた。
ところが、妖女ウェーヂマはさすがに尻尾をみせないや。彼女は水底みづぞこで水死女のひとりに化けてしまつたのだ。
「あの海千山千の妖女ウェーヂマの舌は、あんなことを言つて、あれでちつとも痛くはならねえのかなあ!」
それにあの人の心臓は鉄で出来てゐるの、あの妖女ウェーヂマが地獄の火で打つてやつたのさ。どうしてお父さんは来ないんだらう? もうとうに殺される時なのに、それを知らないのかしら。
あんなに長い! そして火のやうに真赤に灼けてるわ! お前はてつきり妖女ウェーヂマよ! ああ、お前が妖女ウェーヂマなら、さつさと消えておしまひ! お前はあたしの坊やを浚つていくだらうから。