天寿てんじゅ)” の例文
旧字:天壽
自分はきっと天寿てんじゅつ迄もなく殺害さつがいせられてしまうに決っていると確信しているのだから、実に困ったものだ。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
妻にすべてを打ち明ける事のできないくらいな私ですから、自分の運命の犠牲ぎせいとして、妻の天寿てんじゅを奪うなどという手荒てあら所作しょさは、考えてさえ恐ろしかったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おまけに生来病弱であったため、それを苦患くげんにして、幾分天寿てんじゅを早めたかと思われます」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わかっているのは、どう長く生きようと、およそ知れている自分の天寿てんじゅだけであった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうにもならないものが人間の天寿てんじゅだ。いかにせん、こればかりは」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)