大府おおぶ)” の例文
さては五十鈴いすずの流れ二見ふたみの浜など昔の草枕にて居眠りの夢を結ばんとすれどもならず。大府おおぶ岡崎御油ごゆなんど昔しのばるゝ事多し。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「時に。織田の領内では、はや固めておろうな。大府おおぶ横根よこねのあたりは、どんな様子か。清洲から人数を増して来たようかな」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大府おおぶあたりから雨が降って来たのに、それも知らないで眠っているので、妙子が立って窓硝子まどガラスを締めてやったが、彼方此方でにわかに窓を締めたので、車室の中はひとしお蒸し暑い温気うんきこも
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)