大喜利おおぎり)” の例文
呪えども、憎めども、彼女が、不思議な恋のじの環を、どうしても抜けることが出来ぬうちに、大喜利おおぎりも幕になった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
石黒の細君がヴェロナールを飲んで自殺するという大喜利おおぎりが出、それを毎夕新聞が安部の名と並べて書きたてたので、だいぶうるさいことになった。
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「ウィッツナアゲル君のいわれる通りだ。呼び物でかつ大喜利おおぎりになるようなものがあれば、まことに願ったりですよ。考えてみようじゃありませんか。」
新俳優伊井蓉峰いいようほう小島文衛こじまふみえの一座市村座いちむらざにて近松ちかまつが『寿門松ねびきのかどまつ』を一番目に鴎外先生の詩劇『両浦島ふたりうらしま』を中幕なかまくに紅葉山人が『夏小袖なつこそで』を大喜利おおぎりに据ゑたる事あり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
八文字屋自笑はちもんじやじしょうという男で、姫路宿屋の段とか、神変杉狒々退治しんぺんすぎひひたいじの段とかいうように、仮名手本式に十三段にわけて、大喜利おおぎりを巌流島敵討の段でむすんであるが、文化七年にまた
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大喜利おおぎりがにぎやかに幕が引かれると、雪之丞は、潮汲みの、あだッぽい扮装のままで、師匠の部屋に行った。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
七日目の大喜利おおぎりの前に、鏡台に向っていると、楽屋にぬっとすがたを現した男——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)