変遷うつりかわり)” の例文
旧字:變遷
世の中の変遷うつりかわりを見守って来た人、達識者は、幾多の経験の末、どうしてもこの力に結論せざるを得ないものにぶつかるらしいのです。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
お種は、弟の方で待受けたようなことを何事なんにも言出さずじまいに、郷里の方の変遷うつりかわりなどをいろいろと語り聞かせた後で、一緒に階下したへ降りた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
変遷うつりかわりの烈しいものだ! あのようなささいな物から、自分たちの運命が如何にも存在されるのだ!
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
この写真の中には、お雪が乳母と並んで撮った極く幼い時から、娘時代に肥った絶頂かと思われる頃まで、その時その時の変遷うつりかわりを見せるようなものがあった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それがこの山の上の港へ漂い着いて、世離れた測候所の技手をして、雲の形を眺めて暮す身になろうなどとは、実に自分ながら思いもよらない変遷うつりかわりなのである。
朝飯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今日までの代の変遷うつりかわりを見せる一種の展覧会、とでも言ったような具合に、あるいは人間の無益な努力、いたずらに流した涙、滅びて行く名——そういうものが雑然ごちゃごちゃ陳列してあるかのように見えた。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)