墨田川すみだがわ)” の例文
しかも優善はいわゆる心打しんうちで、良三はその前席を勤めたそうである。また夏になると、二人は舟をりて墨田川すみだがわ上下じょうかして、影芝居かげしばいを興行した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
よし全く人情を離れる事が出来んでも、せめて御能拝見おのうはいけんの時くらいは淡い心持ちにはなれそうなものだ。能にも人情はある。七騎落しちきおちでも、墨田川すみだがわでも泣かぬとは保証が出来ん。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雁坂を越してとうげ向うの水にいてどこまでも下れば、その川は東京の中を流れている墨田川すみだがわという川になる川だから自然と東京へ行ってしまうということを聞きかじっていたので
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)