地形ちぎょう)” の例文
十六年前新築のさいに、これも大工らに笑われながら、地形ちぎょう固めに念を入れたり、柱や梁や桁の間を筋交すじかいで綴じ合わしたりしておいたためなのだ。
震災日誌 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
此間はなんじを大公儀の隠目付かくしめつけと思ひあやまり、一旦の遠慮に惜しきやいばを収めしが、其後そののち藩命をこうむりて、あまねく汝の素性行跡を探りしに、画工といつわつて当城下の地形ちぎょううかがふのみならず
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見積りも面倒なく済んで、地形ちぎょうにとりかかった。石川の経験ではすらりと進み過ぎたくらいの仕事であった。実を云えば、見積書をもって行って手金を受取るまで、石川は大して当にしていなかった。
牡丹 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)