土壇どたん)” の例文
「行灯殿が弓を射るそうな。はてどこへぶちこむやら」「土壇どたんを飛び越し馬場の方へでも、ぶっ飛ばすことでござりましょう」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
落ちかかった夕陽が赤々と土壇どたんのあたりに散り敷いて、心気もまたしんしんと澄み渡り、まことに競射にはこの上もなくお誂えの夕まぐれです。
我が手で、鉄砲でうった女の死骸を、雪をいて膚におぶった、そ、その心持というものは、紅蓮ぐれん大紅蓮の土壇どたんとも、八寒地獄の磔柱はりつけばしらとも、たとえように口も利けぬ。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、そのまに土壇どたんのまわりは、数本の百目ろうそくが立て廻されて、赤々と輝くばかり——。