国府津こうず)” の例文
旧字:國府津
国府津こうずまで来て、そこで岸本は代々木と志賀とに別れを告げた。やがてこの友人等の顔も汽車の窓から消えた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ある時国府津こうず行の一等車に乗ったおりは純白なショールを深々と豊かにかけていたのが顔を引立ひきたてて見せた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と団さんは折から国府津こうずに着いたので急いで出て行った。向いの奥さんはこゝで下りるとあって、頻りにお礼を言った後、坊ちゃんを抱き上げ、坊ちゃんは虎を抱いて
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
細長いプラットフォムを歩いて行くにしても、それから国府津こうず行の二等室の内へ自分等の席を取るにしても、どこかこう軽々とした、わざとらしくなく敏捷びんしょうなところが有った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二十年前、岸本は一度国府津こうず附近の海岸へ行って立ったことがある。暗い相模灘さがみなだの波は彼の足に触れるほど近く押寄せて来たことがある。彼もまだごく若いさかりの年頃であった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
乗りつづけに乗って行った達雄夫婦は、その晩遅く、疲れて、国府津こうずの宿まで着いた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)