嘲笑せせらわら)” の例文
と肩をゆすりて嘲笑せせらわらえる、かれは少しく背かがみながら、くれない襯衣しゃつの袖二ツ、むらさきの帯に突挿しつつ、腰を振りてのさりと去りぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、ディグスビイはまず、この館に難問を提出し、そうしてから、その錯綜ジグザグの結び目の中で、嘲笑せせらわらっているのだ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
蔭で嘲笑せせらわらって居た人は私の不成功をひそかに期して居った人かも知れないけれども、それらの人も私に縁あればこそ悪口を言ってくれたのでかえってその悪口が善い因になったかも知れない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それでも、ヤンは嘲笑せせらわらって、なアにお父さんを説き伏せて晩にきますよと、洒々しゃあしゃあと自信ありげに帰っていったのである。そうして、研究所に一つの危機がくることになった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)