嗄声かれごえ)” の例文
旧字:嗄聲
という客の、すこしなまりをおびた嗄声かれごえで、なんだか聞きおぼえのあるような気がして、かすかにさげていた頭をあげ室内を見た。ちんまりと洒落しゃれた小座敷。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
据わった腰、見詰めた眼、溢れようとする満腹の覇気スルスルと進み出た十三郎に押され、土岐与左衛門圧迫を感じ、タッタッと三足ほど退いたが、やや嗄声かれごえ
二人町奴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「待て」と私は嗄声かれごえで制した。窓のカーテンを掻い遣った。妻の鬢の毛が頬に触れた。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
突然、葬式彦が嗄声かれごえげて唄い出した。
「誠か⁈」と云ったが嗄声かれごえである。「で、そやつ、どの方角へ?」
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)