喫驚きっきょう)” の例文
その時の喫驚きっきょう御察しくださるべく候。⦅中略⦆おおいをとり申し候えば、色あおざめ、きびしく歯をくいしばり居申し候。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ベンサムが始めて実利主義を唱えて法律改善を説いた時には、旧慣古制に執着深き英国人士は、皆その論の奇抜大胆なのに喫驚きっきょうせざるを得なかった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
一切の事情をば問わずして、ただ喫驚きっきょうの余りに、日本の紳士は下郎なりと放言し去ることならん。君らはかかる評論をこうむりて、果たしてずる所なきか。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
伊沢榛軒は少しく抽斎に先んじて目見をしたが、阿部家のこれに対する処置には榛軒自己をして喫驚きっきょうせしむるものがあった。榛軒は目見の日に本郷丸山の中屋敷から登城した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小さい百合子さんが喫驚きっきょうした顔をして私を見つめていた。
旧師の家 (新字新仮名) / 若杉鳥子(著)
六樹園は喫驚きっきょうして客の顔を見つめた。
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)