唐辛子屋たうがらしや)” の例文
隣りの唐辛子屋たうがらしや七兵衞は、平次が聲を掛けても返事もしませんでしたが、八五郎がガラリと開けて入ると、女房のお百と、子供がにらめつこでもするやうに
「浪人大澤傳右衞門父娘おやこも、唐辛子屋たうがらしやのケチ兵衞夫婦も、大工の半次母子も、宇佐美左内の一族だつた。その三軒が、仲が惡さうに見せて、實はかたき時期じきを待つた」
「旗本や御家人のつぶの小さいのには、工面のよくねえのが多いから、こつそり繁昌はんじやうしてゐるのは、質屋と金貸しだ。大きいのは九丁目の鍵屋かぎや金右衞門から、小さいのは、唐辛子屋たうがらしやのケチ兵衞に至るまで」