唐筵たうむしろ)” の例文
ぽろッ/\と玉の様な涙が唐筵たうむしろの上に音をたてて落ちた。私は何の為に叩かれたのか理由が分らなかつた。只おど/\しながらしかし逃ることもせず、更に第二の打擲の来るのを警戒して居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
唐筵たうむしろを敷きつめた八畳の室の真中に寝床を敷いて、その上に伯父は平袖の寝衣を着、骨だらけの痩せた胸をはだけ、大きな胡座あぐらをかいて、三十位に見える色の白い美しい丸髷の女に肩を揉ませて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)