名残惜なごりおし)” の例文
旧字:名殘惜
玄関も廊下も晴がましい旅籠はたごまで送り返すのを猶予ためらって、ただ一夜——今日また直ぐ逢う——それさえ名残惜なごりおしそうに、元気なひとに似ず、半纏はんてんの袖を、懐手ふところでねながら
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
久振ひさしぶりで不二雄さんの傍へ来て、つた一日で帰るのはどうも名残惜なごりおしいやうな、物足らないやうな心持が、おそらく継子さんの胸の奥に忍んでゐるのであらうと察しられます。