古朴こぼく)” の例文
この楽器による古朴こぼくな模写音楽の簡素な美しさは、ランドフスカ夫人のすぐれた演奏で、こよなくも面白く聴かれる。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
いわんや上代の古朴こぼく簡勁かんけい、悲壮、優麗なる響きは微塵みじんもなく、外国の物質文明を吸収することはかなり進んでいたが、その文学を紹介し、これを味わうものなんぞはありはしない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
商人もしくは商家の隠居には先ず小倉阿猿おさるがある。団子坂の質屋の隠居で、後に是阿弥と云った。阿心庵是仏がある。谷中三河屋の主人である。大津屋古朴こぼくがある。船宿の隠居である。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
シュナーベルほどの名ピアニストをわずらわしても、これはランドフスカのクラヴサンの古朴こぼくな面白さに及ばない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
大王にふんする鬼が、附近の女を奪って帰ると、それを、田村麿にいでたつものが、奪い返して大王の首を斬る、という幼稚古朴こぼくな仮装劇が、ある時代に、若いものの手で行われたことがあるという。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古朴こぼくな風格を持ったもので、参考用にも、愛聴用にも重要なレコードであるが、この曲をピアノに編曲した通常聴くところの「平均律ピアノ曲」は、ビクターのレコードで
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
このヤスリ一ちやう古朴こぼくな——が美術的な時計細工は續きました。