厩舎うまごや)” の例文
旧字:厩舍
ある日甚三は裏庭へ出て、黙然もくねんと何かに聞き惚れていた。夕月がのぼって野良のらを照らし、水のような清光が庭にさし入り、厩舎うまごやの影を地に敷いていた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「唄い負かすか負かされるか、かなわぬまでも競って見よう。よし! そうだ!」と厩舎うまごやへ走り、グイとませぼうをひっぱずすと、飼い馬を元気よくひき出した。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なおこの他にも厩舎うまごやとかないしは納屋とか番小屋とか細々こまごましい建物は設けられていたが目ぼしい物は見当たらなかった……構内を囲んだ堅固な土塀。土塀の外側の深い堀。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
納屋の方からは、大勢の作男たちの濁声だみごえが聞こえ、厩舎うまごやの方からは、幾頭かの馬のいななく声が聞こえた。時々、下婢や下男が彼の前を通ったが、彼の姿を眼に入れると、いずれも慇懃に会釈をした。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)