勧誘かんゆう)” の例文
旧字:勸誘
あなたもお見受け申すところ大分ご風流でいらっしゃるらしい。ちと道楽にお始めなすってはいかがですと、飛んでもない勧誘かんゆうをやる。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
燻炭くんたん肥料の、条播すじまきのと、農会の勧誘かんゆうで、一二年やって見ても、矢張仕来りの勝手がよい方でやって行くのが多い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「もうちょっとで百名をこえるところでした。それに、志願者の質もたいていはよさそうです。やはり、これまでの修了者の勧誘かんゆうがきいたんだと思います。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
チビ公の母は病気がなおってから店のすみにわずかばかりの雑穀ざっこくを並べた、黙々もくもく先生はまっさきになって知人朋友を勧誘かんゆうしたので、雑穀は見る見る売れだした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかし私は、遠隔えんかくの地にいて調べられるだけの事は調べてしまった訳であるから、もしあの時分に津村の勧誘かんゆうがなかったら、まさかあんな山奥まで出かけはしなかったであろう。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
看板には電話番号など麗々れいれいしく書きこんではいるが、実は二十間ばかり離れた諸式屋の電話であって、そこの主人とは古い交際であったが、その男は副業に保険の勧誘かんゆうか何かやって居るので
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
勧誘かんゆうの手紙を出すんです。先生からも、塾生みんなからも。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)