剪定せんてい)” の例文
その古株から新しい花を咲かせるには、毎年、冬にかかるころ、虫のいた古株をって、新芽の育つように剪定せんていしてやる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言いかえれば作者の感情のままに自然は剪定せんていされるのである。自然は自由に作者の前にひざまずく。これは決して形容ではない。客観写生の妙技である。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
紡錘形に剪定せんていしたアスナロを模様のようにところどころに植えこみ、その間に花壇と睡蓮の池がある。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
剪定せんていをしない果樹が、そのまま実を付けるだけ付けて、やがてその重みのために自ら折れるように、人間の組立てている社会も、その矛盾と反人間性のために、このままでは
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
薔薇を植えた者が、自ら薔薇を刈るに似ているが、小閑の鋏で、あちこち、少し史実と創意の枝とを剪定せんていして、この一輯を束ねておくことにした。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)