削取けずりと)” の例文
額には悲しみの皺を畳み、頬は痛苦のかんな削取けずりとられ、薄くなッた白髪の鬢をほうけ立たせ、眼は真ッ赤に泣き腫れている。
ここへ来がけにひどく馬車で揺られたと言って、彼は背中のある部分だけ薄く削取けずりとられたような上着を着ていた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)