)” の例文
っと、きょのような眼で、信玄はにらみ下ろしている。実に長いここちのする間であった。——下野も黙然と信玄の顔を見ているらしかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は大きな松の実のやうな菜果を手探りで皮を一枚づゝぎ、剥げ根にちよつぽりかたまつてついてゐる果肉に薬味の汁をつけて、その滋味を前歯でき取ることにこどものやうな興味をわかしながら
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
大きな口をッと開き、太刀をふりかぶって、何か云ったのだが、彼もさっきからの戦闘に、士卒を励まして喉をつぶし、その声は、ことばの意味をなさず——、しゃあッと
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)