切迫詰せつぱつま)” の例文
あの眼、あの眼、あの切迫詰せつぱつまつた眼の光、……ぢつと凝視みつめてゐるうちに私の瞳は未だ曾て見たことのない皮肉な微笑と燃え上る憎悪と怒とに顫へて来た。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
池上氏は大阪市長として考へなければならない、切迫詰せつぱつまつた多くの問題をつてゐる。さうかといつて、その合間合間に下級吏員や椎茸の値段を考へたところで少しも差支さしつかへはない。
嘘吐き、嘘吐き、真赤な嘘吐き、俺は何もかも知つて居る、私に切迫詰せつぱつまらして愈心中させる気だつたか、それとも淫蕩な夏の旅行に私をおびき寄せやうとしたのかを、どつちみち二つに一つだ。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)