出迎でむかえ)” の例文
私の右には母の実家さとを相続して、教会の牧師になっている二番目の弟、左には、私を出迎でむかえに来た末の弟が制服の金ボタンいかめしく坐りました。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
山の幹部連中は前の晩から十何里へだたった汽車の着く町迄出迎でむかえに出かけて居る、留守は上飯台の連中が、取片付けに吾々を追廻し乍らも、口では夫れとなく
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
知らせもしないのに、今日来るのを知って、出迎でむかえに出たと云って、手にすがって、あつい涙で泣きました。今度は、すずしい目をひらいても、露のみあふれて、私の顔は見えない。……
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旦那が学校から帰って来ても、出迎でむかえもせず俯向うつむいちゃあ泣いてるもんだから
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)