出会いであ)” の例文
旧字:出會
この虫の声、筧の音、框に片足かけたる、その時、衝立の蔭に人見えたる、われはかつてかかる時、かかることに出会いであいぬ。母上か、摩耶なりしか、われ覚えておらず。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真日中まひなかに天下の往来を通る時も、人が来れば路を避ける。出会いであえばわきへ外れ、遣過やりすごして背後うしろを参る。が、しばしば見返る者あれば、煩わしさに隠れおおせぬ、見て驚くは其奴そやつの罪じゃ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)