凝乎じっと)” の例文
其の部屋は茶ノ間と覚しく凝乎じっと耳を澄ますと鉄瓶の沸る音がジィンジィンと聞え、部屋には最初の男を加えて三四人は居るものと想像され
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
それから約二十分の間、私は曙館の塀に身を潜めて妻と其の相手の現われるのを凝乎じっと待って居たのであります。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
暫らく凝乎じっと彼女をみつめ続けて居ると彼女は時折眼鏡の懸具合が気になるらしく真白い指先で眼鏡の柄をいじくるのでありますが、——それは間違い無く眼鏡の故障を立証する所作であって
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)