冤鬼えんき)” の例文
冤鬼えんきも訴えに来たのだろうということになると、彼の技芸にもはくが付くわけで、万事が好都合、李香にとっては幽霊さまさまと拝み奉ってもよいくらいだ。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これも、もし翌日行きて見ざれば、鬼となし怪となすこと疑いなし。およそ世の冤鬼えんき、妖怪というものも、その源を探究さぐれば、大抵みなこれらの類なるべし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
往古むかしより日本にても、西洋にても、冤鬼えんきあるいは妖怪の説ありて、人も往々これを見しなどというものも最も多けれども、これはみな誑惑癖きょうわくへきをなすの妄念より出ずるか、あるいは夢か
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ないし、人死してその魂魄こんぱくいまだ散ぜざる間は、冤鬼えんきとなりて人の目に見ゆることもあるべし。我俗これを幽霊という。ないし、冤鬼の人に見らるるも、その魂魄いまだ散ぜざるあいだにあるべし。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)