内懐中うちぶところ)” の例文
旧字:内懷中
圓馬はここでいっぺん懐中した財布をまた落としちゃ大変だと気がつくこころであわてて内懐中うちぶところへ、初めて両手で拝んでいる。この演出もまた心理的で秀れている。
お高祖頭巾をかなぐり捨たあやめは、内懐中うちぶところへ片手を差し入れたまま、さすがに驚いて声をかけた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
袂を払って内懐中うちぶところへ両手を突っこみ、一通の書付かきつけを取り出すと、それを武蔵の眼さきへ突きつけた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは内懐中うちぶところから一枚の銀貨をつまみ出すと、やはり低い声で
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
植田良平は、内懐中うちぶところへ両手を入れて、何か自分の肌をあたふた探っていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)