兵古へこ)” の例文
その兵古へこ帯の上に、思いもかけぬ、福よかな肉の隆起があって、あっ、と思うほど、柔らかく、暖かく、悩ましく、顫える指さきを、吸盤のように奪うのだった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
つんつるてんの飛白かすりつつっぽに、白木綿の兵古へこ帯を太く巻いた大男が、茶筌ちゃせんあたまを振り立てて、そこらで根から抜いて土のついてる六尺ほどの若木を獲物えものに渡り合うのにも
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
花模様の単衣ひとえ物に、寝たり起きたりするために兵古へこ帯を胸高に締めているのが、いかにも生々ういういしく見え、その可愛いい唇は喀血のあとのように、鮮やかに濡れていて眼は大きな黒眼をもち