六間堀ろっけんぼり)” の例文
華表の前の小道を迂回して大川の岸に沿い、乗合汽船発着処のあるあたりから、また道の行くがままに歩いて行くと、六間堀ろっけんぼりにかかった猿子橋さるこばしという木造の汚い橋に出る。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
浪人してしばら六間堀ろっけんぼり辺に居りました其のうちは、蓄えもあったからうやら其の日を送って居りましたが、き詰って文治の裏長屋へ引越ひきこし、毎日弁当をさげては浅草の田原町たわらまちへ内職に参ります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正月は一年中で日の最も短いかんうちの事で、両国から船に乗り新大橋で上り、六間堀ろっけんぼりの横町へ来かかる頃には、立迷う夕靄ゆうもやに水辺の町はわけても日の暮れやすく、道端の小家には灯がつき
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)