相手というのは羅紗らしゃ道行みちゆきを着た六十恰好ろくじゅうがっこうじいさんであった。頭には唐物屋とうぶつやさがしても見当りそうもない変なつばなしの帽子をかぶっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)