侵蝕しんしよく)” の例文
壁は蒼茫さうばうたる暮靄ぼあゐの色をなし、幾十の年光に侵蝕しんしよくせられて、所々危うげなる所なきにあらず。我常に之に対して思ふ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
明治廿五年ごろには山川の鋭い水の為めにその葦原が侵蝕しんしよくされて、もとの面影がなくなつてゐたのであらうが、それでもその片隅の方には高い葦が未だに繁つてゐて
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
一物一事も見落さぬ攻め手で、潮が砂地を侵蝕しんしよくするやうな、根強い調べです。