何某なにぼう)” の例文
その親が海に働こうとしてあかつきに浜に出たが、まだ夜が明けぬのでしばらく寄木を枕にして仮睡うたたねしていると、今ほど何某なにぼうの家に子がうまれる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
何某なにぼうの講談は塩原多助一代記の一節で、そのあとに時代な好みの紅葉狩もみじがりと世話ににぎやかな日本一と、ここの女中達の踊が二組あった。それから饗応きょうおうがあった。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何某なにぼうが死亡しているようであるが、その写真で明瞭であるとおり、何某から五六メートルも離れた位置より、彼等の内の何人たりとも何某の首を切断することは不可能事である。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)