低頭勝うつむきがち)” の例文
一人はそれとは正反対に、背の低い、色の浅黒いやせこけた体格で、其顔にはく単純な思想があらはれて居るばかり、低頭勝うつむきがちなる眼には如何いかなる空想の影をも宿して居るやうには受取れなかつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
二人になるより早く、時雄は昨日の消息を知ろうと思ったけれど、芳子が低頭勝うつむきがち悄然しょうぜんとして後について来るのを見ると、何となく可哀かわいそうになって、胸に苛々いらいらする思を畳みながら、黙して歩いた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)