会席膳かいせきぜん)” の例文
それでもって、さあ食おうと云って、次の間の食堂へ案内した。西洋流の食卓の上に、会席膳かいせきぜんを四つ並べて、いよいよ鶉の朝飯となった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
纏縛てんばくという言葉が、ちらと私の頭をかすめて過ぎた。しかし、私は眼の前の会席膳かいせきぜんの食品の鮮やかさに強て念頭をぬぐった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
自分はやがてまたお重が呼び出される事と思って、調戯からかい半分茶の間の方に出て行った。お重は一生懸命に会席膳かいせきぜんを拭いていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこへ行くと日本の献立こんだては、吸物すいものでも、口取でも、刺身さしみでも物奇麗ものぎれいに出来る。会席膳かいせきぜんを前へ置いて、一箸ひとはしも着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、御茶屋へ上がった甲斐かいは充分ある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)