仁三にざ)” の例文
ひとりの男の目まぜに働く四、五人の黒衣くろご、それはまさしく、徳川万太郎を暗殺することのくじを引きあてた、雲霧くもきり仁三にざの一組です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窓の下へ寄っていた三人の黒衣くろご、四ツ目屋の新助、お人よしの率八、雲霧の仁三にざを取り囲んで、追っ馳け追ン廻す物音の様子であります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからも千ぞくの稲が来る。雲霧くもきり仁三にざが来る。そのほか、有名無名の白浪たちが「目ざまし草」の胴乱をかけ、たばこを仕入れに出入りします。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伝吉が見たようなと、思ったのも道理で、その男は、同業だが仲の悪い、宮津方の用達元締もとじめをしている、舞鶴の新造の身内で、独鈷どっこ仁三にざという者だった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)