五月処女サウトメ)” の例文
かうして山籠りは、一種の春の行楽になつて了うたが、昔は全村の女が村を離れて、山籠りをした。即、皐月の田植ゑ前に、五月処女サウトメを定める為の山籠りをしたのである。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
女の物忌みとして、田を植ゑる五月処女サウトメを選定する行事は、卯月の中頃のある一日に「山籠り」として行はれる。さうして、山から下りる時には、躑躅の花をかざして来る。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此日、村の娘が五月処女サウトメとしての資格を得るのである。そうとめと音便で呼ばれる語形さをとめの結合は、近世では出来ない結合である。処女ヲトメは神事に仕へる女、と言ふ事である。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)