五十嵐いがらし)” の例文
出羽の庄内、ことに西田川郡の海岸部においては、佐藤と五十嵐いがらしという家が南北から入り交って、ここで双方の境界をなしている。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
……本名五十嵐いがらし伝吾、北海道産物商会主とある名札を持つから、成程膃肭臍も売るのであろうが、他に何を商って、どこに住むか、目下の処いまだ定かならずである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さあさあ今度は誰にしよう。五十嵐いがらし氏がよい、五十嵐氏がよい。型は当流での虎尾剣こびけんだ。竹刀をはね上げて突きを上げましょう。行くぞ! よろしいか! さあ用心!」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
房次郎の勤め先国分商店の常務をしている五十嵐いがらしと云う中老の紳士がいたのを、房次郎から頼んで介添役に出てもらうことにし、此方こちら側は貞之助夫妻に雪子の三人で、主客八人と云うことになった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)