不問ふもん)” の例文
この端麗たんれいな、しかも、もと安土城あづちじょうにもいたといういわくつきの美少女を、不問ふもんに捨て去るのは、何やら惜しい気がしてならない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとよりそれは何人をも首肯しゅこうせしめる当然の結論だった。もし道鏡がその神教を握りつぶして不問ふもんに附する場合をのぞけば。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかし蟹は猿とのあいだに、一通の証書も取りわしていない。よしまたそれは不問ふもんに附しても、握り飯と柿と交換したと云い、熟柿とは特にことわっていない。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)