「されば、武芸者は、上州じょうしゅう大胡おおごの城主上泉伊勢守かみいずみいせのかみおいで、疋田小伯ひきたしょうはくという者をかしらに、門下の同勢十二名。騎馬一領、荷駄三頭、槍七筋を持ったお客じゃて」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、長男が彦四郎、次男が信友——ははあ、これが講武所の下総守だな、こいつの剣術はすばらしい、なんでも話に聞くと、上泉伊勢守かみいずみいせのかみ以来の剣術ということだ。
「——前もって、書面にて申し上げておきましたお客方、元、上州箕輪みのわの御城主、上泉伊勢守かみいずみいせのかみどのを御案内申しあげて参りました。宗厳様へ、その由、お伝えをお願いいたしまする」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)